未踏期間中に私が行ったことは,これまでのエントリに書いたのですが,やはりいくつか心残りと言うか,やり残したことがあります.私が考えているのは以下の通り.
- プライバシー・セキュリティについて検討する
- 成果を世に出すための機能実装
- ソフトウェアのターゲットを再検討する
本エントリでは,これらについて書いていきます.
1.プライバシー・セキュリティについて検討する
Webサイト開発者,管理者はWebjigを利用することで,ユーザがどのようにWebサイトを利用しているかを,具体的に知ることができます.
- Webページのどこを読んでいるのか,読んでないのか
- どの部分を良くクリックしているのか
- Webページへのアクセス直後に,どんな行動を取るのか
- 離脱直前に,どんな行動を取っているのか
- Webフォーム入力中,どこで詰まるか
- ユーザの操作ミスが多い箇所はどこか
- 等
これらの情報を得られるという事はWebサイト開発者・運営者にとっては大きなメリットになりますが,ユーザのプライバシーはどうなるのか?と言う問題があることも事実です.
この解決方法として,
- ユーザに情報を収集している事実を伝える(ダイアログで「情報を収集しても良いですか」と知らせる?)
- ユーザに何らかのメリットを与える
- 会員制のWebサイトであれば,情報を収集していることを,会員規約に盛り込む
- プライバシーポリシーに書いておく
と言った意見も頂きましたが,私にはどれも現実的な解決方法には思えません.ですので,技術面,運用面から今後の検討を重ねる必要があります.
2.成果を世に出すための機能実装・検討
未踏プロジェクトは国からお金をもらってソフトウェアを開発するわけですから,それ相応の成果を出さなければなりません.もちろん,ソフトウェアを開発した,と言うだけでは成果にはなりません.
学者の先生方から見れば,以下の成果だけでも十分なのかもしれません.学術の発展に寄与したという意味で.
- 国内研究会に原稿を出してベストペーパー賞を受賞
- 国際会議にも原稿投稿
- ジャーナル投稿準備中
ただし,これで恩恵を受けることが出来る人って,ものすごく少ないですよね.やっぱり,ソフトウェアなんですから,使ってもらってナンボかな,と私は思っています.
実は,当初の予定では,CMフェーズではリリース出来るものを開発する予定だったのですが,残念ながら実際にリリースするに至りませんでした.
また,一般公開するとすれば,ASP形式での提供を考えています.そうなると,アカウント登録・管理・保守などの機能が必要になってくるのですが,この部分はWebjigの主目的では無いとの判断から,実装を先送りにしてきました.一般公開するとしたら必要になる部分ですので,どうやって実装するか検討を行わなければなりません.まぁ,これはそんなに実装が難しいもんでもないんですが.
さらに,これはソフトウェアに関する問題ではないのですが,サービスの運用サーバをどうするか,維持費をどこから捻出するかも,大きな課題です.オープンソースとして公開してしまうと,費用の問題からは解放されるのですが,そうなると一般ユーザにサービスを提供するのが難しくなってしまうので,悩みどころです.
3.ソフトウェアのターゲットを検討する
ソフトウェアのターゲットは未踏提案時に検討したのですが,開発を進めていくうちに,色々な発見がありました.
まず,私のテーマは「Webサイト閲覧中のユーザ行動を可視化する」だったのですが,御存じのとおりWebサイトは世界中にごまんとあり,それらの種類も様々です.ブログから掲示板からWebアプリから・・・.そして規模も様々です.訪問ユーザ数が月間数人のWebサイトがあれば,1時間数万人を数えるWebサイトも存在します.
これら多種多様なWebサイトに対して,本当に1種類のアクセス解析ソフトで対応できるのでしょうか?サイトの種類,規模によって,運営予算も違えば必要としている機能は異なるはずなのに….
なので,最終的に全てのWebサイトを対象とするとしても,まずはドメインを決めて,それに特化したソフトウェアを提供していくのが良いのでは,と考えています.