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バイオリンと山、自転車をこよなく愛するkurのチラシの裏。たまには技術的なことを書いたりするかも知れません。

未踏開発成果報告 ~3.キックオフミーティング・開発計画策定~

7月中旬,未踏の面接結果の連絡が来ないので,不採択だったのかと思い,憂鬱な日々を過ごしていた頃,IPAから一通のメールを受け取りました.内容は「貴兄の申請プロジェクトが採択となりました」というものでした.

本エントリでは,採択されてから実際に開発を開始するまでについてを書いていきます.

キックオフミーティング

未踏に採択されてから約1ヶ月後の8月末,東京某所でキックオフミーティングが開催されました.

2008年度上期の未踏は勝屋PM,松原PM,加藤PM,畑PMの,4PM合同で取り行われました.PMが合同でイベントを行うか,単独で行うかは,各PMの採択数などによって変わってくるみたいですが,今回,2008年度上期の畑PMの採択プロジェクトは私のプロジェクト一件だけでしたので,合同でキックオフミーティングを実施したおかげで,他の未踏採択者と交流を深めることができ,非常によかったと思っています.

キックオフミーティングとは自分のプロジェクトについて「何を作るか」「なぜ作るか」「どうやって作るか」についてプレゼンを行うのですが,注意しなければいけないことは,面接の時とはプレゼンの目的・聴いて下さる人が異なると言うことです.

面接のときは「目の前にいるPMに採択してもらう」ことが目的になりますが,キックオフミーティングは,自分の申請プロジェクトについてPM以外の人から意見・指摘・アドバイスを頂ける貴重な機会ですので,「キックオフミーティングに参加してくださっている方が方ら,どうすれば意見・アドバイスを頂けるか」を考えてプレゼンを構成しました.

開発計画策定

IPAの支援を受けてソフトウェアの開発を行うためには,IPAと契約を行う必要があります.そのため,キックオフミーティングが終わると,IPAとの契約を行うための書類作成を行いました.書類の内容を一言で言うならば,「どうやってプロジェクトを進めていくかの計画書」です.

良い製品・サービスを開発するための方法って,いくつかあると思いますし,そのための開発プロセスも存在します.代表的なものでウォーターフォールモデルやスパイラルモデルが存在します.

せっかくソフトウェアを開発するのですから,「ウォーターフォールでやる!」とか「アジャイルでやる!」って宣言してからやった方が良さそうな気もするのですが,私はこれまで,こういうキッチリしたソフトウェア開発を行った経験がありませんでしたし,下手に新しいかっこいいプロセスを導入するよりも,人工衛星開発で利用していたスパイラルっぽい開発プロセスをそのまま持ってくることにしました.

そこで,私はソフトウェアの開発計画を定めるにあたって,3つのフェーズを策定しました.私は実施計画書の中でそれぞれのフェーズを,BBM(Bread Board Model),EM(Engineering Model),CM(Commercial Moedl)と呼んでいます.

Bread Boardというのは,「パンをこねる板」の意味です.やわらかいパンの生地をこねてパンの形を考えることを表していると聞いたことがあります.実際,仕様確認や技術確立の意味合いが強いモデルで,この方針で突き進んで大丈夫か?現在の課題は何か?の確認を行います.

Engineering Modelは.一言でいえば,BBMの改良版です.BBMの開発を行う上で気がついた点などをフィードバックし,実際にサービスとして展開するために,どうすれば良いか,等の確認を行います.

Commercial ModelはEMの改良版です.EMを開発中に気がついた点やダメな点をCMで改良し,実際にサービスとして提供できるものを開発します.

と,だいたいこんな感じで計画を策定し実際にソフトウェアの開発を進めていきました.

まとめ

未踏でソフトウェアを開発することと趣味で開発することと違う点は,「成果を求められるという点」だと思っています.

通常,趣味でソフトウェアを開発するのであれば,思いついた機能をそのまま実装していけばいいし,飽きたり,壁にぶち当たったら開発を放棄するという選択肢もあります.ですが,未踏のようなプロジェクトの場合,国から大切な税金を頂いて開発を行うわけですから,そう言ったことは許されません.

ただし,成果を出すために,IPA,PM,管理組織はソフトウェア開発のサポートをしてくれますし,趣味でソフトウェアを開発する場合に比べて,様々な方から意見を頂けます.その中には私が逆立ちしても出てこないような素敵な意見もあり,大変参考になりました.