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バイオリンと山、自転車をこよなく愛するkurのチラシの裏。たまには技術的なことを書いたりするかも知れません。

Second Lifeの見た夢

最近,何人かのコンテンツ・ビューア屋さんと話をする機会があったので,ついカッとなってSecondLifeについて,私の思うところを書いてみる.

まず,Second Lifeとは何か

Second Lifeってのは3D Internetの一種で,ユーザの分身(アバター)同士が仮想現実の中で,コミュニケーションをとったり,観光をしたり出来るシステムです.

Second Lifeがメディアに大きく取り上げられていたのは去年の夏ごろだった気がします.Second Lifeが失敗したのか,成功したのかについては,定義の仕方によって様々だし,失敗した/成功したのは何故か?についても,様々な解釈があると思うので,私はわざわざ書きません.あんまり興味無いので.

私の興味の対象は「Second Lifeは何を目指していたのか?何がしたかったのか?どんな可能性があったのか?」という点.結論から書いちゃうと,実はSecond Lifeは次世代コンテンツ・ビューアの座を真面目に狙っていたのではないか?と私は勝手に思っている.

Webブラウザの限界

Webの現状として,リッチなコンテンツをユーザに提供しようとすると,妥当な選択肢としてはFlashの存在が挙げられる.

でも,Flashで出来ることってたかが知れてるんですよ.2次元の領域中に,画像を張り付けて,動かしたりするだけ.まぁ,最近のFlashは映像とかも流せますけど,所詮は2次元.擬似的に3次元っぽい見せ方をすることが出来るとはいえ.

そりゃ,昔はそれで良かったんだと思う.Webサイトを作ってるユーザだって,2次元の世界で表現出来たら十分だったんだと思う.でも,中には3次元のものを作って,人に見せたいと思う人もいるかもしれない.ブログで物事を説明するときに,3次元で見せることができれば,わかりやすいかもしれない.

3次元コンテンツを流通させるには

じゃー,どうするか.3D-CADのデータを配布するっていう手もあるかも知れないけども,それって,すごい問題があるんです.それは何か.大きさをイメージできないって言うこと.

立方体の3Dデータがあったとして,それをそのまま渡されたところで,大きさがイメージできない.もちろん,寸法を指定することは出来るだろうけど,これの大きさは一辺が3m50cmですって言われたところで,そんなもん一瞬でイメージできるわけがない.少なくとも私には.

そこで必要になってくるものが,サイズを比較するための方法.どうすれば,サイズだとか位置関係って言うものを,人は簡単に把握できるかって言うと,3Dの世界にアバタという形で入ってしまえればいい.自由に動くことができれば,大きさのイメージがものすごく容易になるんです.そう,ネットゲームと同じ発想.町の中を歩き回ったり,人と会話したり,サードリアリティじゃないけど,やっぱり現実感が違うんですよ.

Webとの親和性

じゃぁ,ネットゲームとは何が違うのか.たとえば,slurlというサービスがある.これは何かって言うと,PCのWebブラウザでWebサイト上にあるsurlと呼ばれるリンク(たとえばこんなの)をクリックすると,SecondLifeの世界に移動することが出来るというサービス.Second Lifeの世界には,各地域に名前が付けられており,座標が振られているため,この仕組みを用いることによって,Webサイトの閲覧者をSecondLifeの世界の任意の箇所にワープさせることが出来る.つまり,人に見せたい3Dのコンテンツがあったとして,これを見せるにはどうしたらよいかというと,リンクを張るだけで良かったんですよ.Webサイトの閲覧者がSecondLifeをインストールしていればだけど.

SecondLifeを利用したことが無い人に対して,この文章で,どの程度理解してもらえるかって言うのは,まったく不明なのだけれども,インターネットの中における3Dの扱いをどうするかという大きな問いに対して,非常に面白い解答だったのではないか,と思ってたりします.まぁ,一部のビジネス寄りの人たちが,可能性に期待しすぎて壊しちゃった感もあるんですが.

で,それに気がつかずに,後追いで3D Internetサービスを始めたプロバイダさんがいくつかあるようです.だけど私には,とてもじゃないけどそれらが普及するとは思えないのです.ユーザ(コンテンツの提供側と受容側)が何を求めているか,まったく考えていないように思えるのだもの.

3D Internetの将来

ただ,3D Internetに対する世の中の需要が無くなったわけじゃないと思うし,いずれ3D Internetが広く受け入れられる時が必ず来るんじゃないかな,とは思います.そのとき,Second LifeっていうかLinden Labは,評価されるか,それとも黒歴史として消されるか.

将来どうなるかわかんないけど,個人的には評価されてもいいかなと思うのです.