IBMにインターンに行った時に,大和研究所の偉い人とラウンドテーブルする機会を頂いた.その場では,今後の世界,今後の情報産業等,今後のIBMの在り方について話をし,非常に有意義な時間を過ごすことができた.
その場所で,偉い人が薦めて下さったのがこの本である.
この本は,著者が数学屋さんなので,全般を通して数学のことについて書かれている.実際,本の案内にはこう書かれている.
数学を志す人のために数学者が書き下ろした案内書
しかしながら,書いてある内容は数学屋さん以外であっても分野を問わず有益な内容だと思う.特に研究や開発の世界を志す人間にとっては.
とりあえず,本書を読んでいて「なるほど!」と思ったのは次の点.
こだわることも大事だが,やめることも大事.
ひとつの物事を深く深く追求して,少しでもいい結果を出そうとすること.壁にぶつかったとしても,何とかして壁を乗り越えるなり,他の道を探すなり,あらゆる方法を駆使して,ゴールに近づいて行く能力.すごく大事.
でも,これ以上進むのはコストが釣り合わない.そう思ったらゴールに近づくことをやめることも必要.つまり,研究を趣味でするなら知らないけど,誰かにお金をもらって研究する以上,アウトプットが必要なわけ.にもかかわらず,壁にぶちあたったときに,「その壁を回避するためコスト>>壁を回避することによって得られるゲイン」が成り立つか否かを判断せずに,いつまでもこだわるのは意味がない.このあたりの判断のは難しいけど,大事.
日本語で,「忍耐力」ってのと「あきらめが悪い」ってのは,似ているようですごく違うように思う.どう違うかって言うと「忍耐力」って言葉は成果が期待できる時に使うもの,「あきらめが悪い」って言葉は成果が期待できない時に使うものなんだと思う.研究者や技術者にとって忍耐力は必要.でも「あきらめの良さ」ってもの大事なんだと思う.
競争相手は敵ではない
どうしても競争相手っていうと「敵」っていうイメージになっちゃうんだけど,実はそんなことはないはず.
競争相手がいるからこそ,もっと良いものを!って言うモチベーションにもなるし,お互いにヒントをもらったりすることもできるはず.
自分の研究分野に競争相手がいない,と言って喜んでいる人が居るけど,それはその分野に新規性があるのか,それとも誰も価値を見出していないのか.もし後者なら喜んでなんかいられないはず.
自分に競争相手が居ることを喜ばなければ.