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バイオリンと山、自転車をこよなく愛するkurのチラシの裏。たまには技術的なことを書いたりするかも知れません。

未来を予測する技術

天気予報って便利です.未来の天気がわかるおかげで,出かける時に傘を持っていくとか,洗濯物をベランダに干すだとか,あるいは取り込むだとか,今後自分がどうすればよいか?を決めることができる.

そんなわけで私たちは普段から「未来を予測する技術」にお世話になって言る.「未来を予測する技術」って言うと,何年後に内閣がどうなっているとか,Web3.0に何が来るかとか,GoogleがGoogleであり続けられるか,ついついそんなことを考えちゃうんだけど,そんな事を言ってるのではない.

この本は,日本が世界に誇るスーパーコンピュータである,地球シミュレータについて,地球シミュレーションセンター長の佐藤氏が書いた本である.

地球シミュレータが登場したとき,ニューヨークタイムズの第一面には「日本に『コンピュートニク』出現!」と言う記事が載ったという.コンピュートニクというのは,スプートニクのもじりだろうが,つまりアメリカでは日本が世界最速のスーパーコンピュータを開発したという事実が,人工衛星に匹敵するような,かなりのインパクトであったということらしい.それは地球シミュレータが,これまでにないほどの科学的な信頼性を持ち合わせて,未来を観測する機械であったらである.

未来を予測する技術は,未来をつくっていく技術であると,本書では述べられている.

つまり,未来を予測することができれば,対策を打つことができる.「夕方から雨が降る」という事実を知っていながら,洗濯物を干す人は居ないだろう.出かける予定があるのであれば,傘を持っていくというオプションをとることができる.このように未来を予測することができれば,それに対してどうすれば良いのかがわかる.さらに,何らかの対策を行うにあたって,その対策がどれほどの効果を,影響を与えるのか?を検討していくことも可能になってくる.

そういえば,地球シミュレータが登場したのは2002年であるが,2004年にIBMのBlue Geneが登場するまでの2年半,地球シミュレータは世界最速であり続けた.現在は他にも高速なスパコンがいくらでもあるが,それよりも,今後開発される日本製スパコンが楽しみで仕方がない.ついこのあいだ発表された理研のスパコンは,性能は何と10PFLOPSだそうで.今後の展開が楽しみで仕方がない.