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バイオリンと山、自転車をこよなく愛するkurのチラシの裏。たまには技術的なことを書いたりするかも知れません。

データでみるTwitter

What is Twitter, a Social Network or a News Media?という,Twitterユーザとしては非常に興味深い論文がありました.せっかくなので論文の内容も紹介してみます.なお,以下のすべての図は,上記の論文から引用させて頂いています.

私はこの論文を読んで,Twitterって,すごい大きな可能性を持っているんじゃないか?と思いました.それは将来的に,情報って,情報を必要とする人の場所に,情報が自分でやってくるようになるんじゃないかということ.これって,従来の情報伝達の形ではありえなかったことで,すごく画期的なことだと思うんです.

フォロー数とフォロワー数の関係

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FollowerとFollowの関係のグラフです.赤い線がフォローしている数,青い線がフォローされている数です.グラフでY軸が大きくなるほど,ユーザが少ない事を表しています.

100万人以上のフォロワーが居るのは40人程度で,彼らは全員有名人かマスメディアです.彼らはフォローされても,フォローし返すことはほとんどありません.このために,非対称性が発生しているんだと思います.

ちなみに20人のところでFollowingsが少なくなっているのは,Twitterに新規登録したら20人のお勧めユーザが表示されるため,2000人のところでFollowingsとFollowersが逆転しているのは,以前は2000人までしかフォローできないという制限があったためだそうです.

フォロー数/フォロワー数と発言数の関係

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フォロワー数と発言数のグラフです.フォロワー数が100~1000のユーザの発言数はほぼ同じですが.フォロワー数が5000になると発言数も増加しています.そしてそれ以降は,フォロワーが増えたからと言って発言数が増えることは無いようです.

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こちらはフォロー数と発言数のグラフ.

たくさんフォローはしてるけど,ほとんど発言していないユーザの存在をグラフから見ることができます.これは,スパムアカウントであると,著者は述べています.

特定のユーザ間の距離

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これはtwitter上における,特定の二人が,何ホップでつながっているかを示したグラフです.人の共通の知人の連鎖を6回介せば,世界中のすべての人間と間接的な知人関係を結べるという考え方を,twitter上でやったらどうなるか,ということです.グラフから読み取れるように,平均4回程度で,すべてのユーザとつながることが出来るようです.

Twitetr上で,どんな人とつながるのか?

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相互にフォローしているユーザの数と,活動時間の差の平均値です.活動時間の差は,時差を表したものであることが多いようです.このグラフから,同じ地域に住んでいる人とつながりやすい,と筆者は述べています.

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このグラフは,フォロワー数と,相互フォロワーの数を示して居ます.twitter上においては,同程度のフォロワー数を持つユーザーとつながりやすい傾向にあるようです.

Twitterユーザのランキング

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一般に,Twitetrユーザの影響力はフォロワーの数によって決まると思われています.上の表はフォロワー数が多い上位20名です.Twitter上でフォロワーの数が多いのは有名人かニュースメディアです.でも,発言の実際の影響は,Retweetを考慮しなければなりません.

そこで,著者らはGoogleのPageRankのようなアルゴリズムを提案し検討を行っています.このアルゴリズムによって影響力をランキングしたものが上の表の真ん中のランキングです.

さらに著者らは,表の一番右側にRetweetの回数でユーザをランキングしています.Retweetされることが多いユーザはニュースメディアやジャーナリストです.このようにRetweetでランキングすることで,Twitterを新しいメディアとして考えることができます.

どんな情報がTwitterで発言されているか

Twitter上での話題をGoogle TrendsとCNNのヘッドラインと比較します.Twitter上で多い話題は,世界のイベント,有名人,映画,等です.

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話題の鮮度を分析した上の図です.左がGoogle,右がTwitterです.Googleでは,新しい話題が95%ですが,Twitterでは新しい話題は72%です.Retweet等の利用によって,twitetr上では話題が長続きする傾向があるようです.

また,情報の早さについてCNNと比較しています.スポーツの結果や,事故などのニュースは,CNNで報道されるよりも,Twitterで報道されるほうが早い傾向があるようです.Twitterのメディアとしての役割を確認できます.

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また,同程度つぶやかれていたとしても,中のユーザの数が変わる場合があります.左の図はAppleについてのつぶやき,右の図はイラン選挙についてのつぶやきです.Appleについてのつぶやきは,つぶやきの数とともに,ユーザの数も増えていますが,イラン選挙については,一定のユーザが多くつぶやいています

 

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この図は,一つの話題がどれぐらいの期間つぶやかれるかです.73%の話題は,1回だけ活発に発言されます.30%の話題は1日で終わってしまいますが,7%の話題は10日以上続きました.そして,重要な話題のほうが長続きするし,即時性のあるニュースよりも,プロスポーツチームや,都市,ブランドなどの話題のほうが長続きするようです.

Retweetの影響力

Retweetはtwitter上で情報を流すための効果的な手段です.著者らは情報の広がりに影響を与える要因を分析しています.

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この図は,Retweetされた情報が,どれぐらいのユーザに見られるかを表したものです.一度Retweetされると平均1000人のユーザに情報が届く事を示しています.これは非常に興味深いことで,何人にフォローされているかと,何人にメッセージが届くかにはあまり関係がありません.フォロワー数が少ないユーザでもRetweetされることによって多くのユーザにメッセージを届けることが出来るということです.もちろん,フォロワー数が多いほうが,Retweetされやすいってのはありますが.

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このグラフは,発言がRetweetされる回数と割合を示しています.96%のつぶやきは,1度だけしかRTされないことがわかります.

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このグラフは,Retweetされるまでの時間を示しています.Retweetの50%は1時間のうちに行われ,75%のretweetは1日のうちにおこなわれます.1か月後に発生するRetweetも10%も存在します.

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このグラフは,2回目以降のretweetが起こるまでの時間です.Retweetの50%は1時間のうちに起こると書きましたが,2回目以降のRetweetは,それよりも短い時間で行われていることがわかります.Twitter上における情報伝達速度は非常に早いことがわかります.

Twitterの持つ可能性

この論文を読んだ感想ですが,Twitterは新しいメディアであり,,新しい情報伝達の形であると言えると思います.

TechWaveにデジタルデバイド、心配なのは大企業の情報格差という記事がありましたが,個の中で下記のようにあります.

一方でTwitterなどのソーシャルメディアを使っている人たちは、自分たちの情報摂取の形が変化し始めたことに気づき始めた。最新ニュースはTwitter経由で知ることが増え、Twitterを通じた人とのつながりが意外なところで仕事に役立つということに、多くの人が気づき始めたのだ。

このことに危機感を覚えている人も居るのかもしれません.でも私は,ソーシャルメディアを使わなければいけない,って考えるよりも,ソーシャルメディアを使うことのメリットってのも大きいと思います.

現代社会ってもともと,専門が細分化されていたために,テレビや新聞が与えてくれる情報を消費するだけでは不十分になっており,自分で自分の役に立つ情報を集めに行かなければならない状況であったように思います.

だけど,Twitterを使う事で自分と似た属性のユーザとつながることが出来ますし,Twitterは従来メディアと比較して,情報伝達速度が非常に早いです.つまり,Twitterのようなソーシャルメディアをうまく使うことによって,情報を必要とする人の場所に,情報が自分でやってくるようになるということ.これって,すごく画期的なことだと思います.今後のソーシャルメディアの将来が楽しみです.