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バイオリンと山、自転車をこよなく愛するkurのチラシの裏。たまには技術的なことを書いたりするかも知れません。

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論

インターフェースの世界には,有名な人が何人かいるんだけど,この本の著者はDon Normanと言う人.正直,ユーザビリティの勉強をする前には,聞いたこともなかったんですが,なんでも,某原子力発電所事故の原因をヒューマンエラーであるが,原発の制御室にはラベルも書いてない同じ形の多くのスイッチが並んでおり,押し間違えても責められることではない.と報告したことで有名らしい.また,Apple computerやHPで研究員をしていたとか.インターフェースの父と呼ばれるとか,まぁとにかく凄い人らしいです.

悪いデザインとは何か?

たとえば,押すことで開くドアを引いてしまった経験が1度や2度はあると思います.

この原因はなんだろうか?私が悪いのか?もちろん,その可能性もある.でも,ドアのそばでしばらく観察していて,同じ失敗をする人が大勢いるとすれば,それはドアが悪いのではないだろうか?世の中の産業事故,飛行機事故や船の衝突事故などが起こると,原因はヒューマンエラーと認定されることがある.しかし,本当に人間が悪いのか?「デザインが悪い」という考え方は無いのだろうか?

この本ではまず,人がものを使う時,動作をおこなうとき,どのような事象が起こっているのかを分析している.そして,思考の流れを分析し,デザイナするという行動について分析している.そして,最後にユーザ中心のデザインというものを提言し,そのための7つの原則をあげ,それぞれについて説明を行っている.

この本は,デザインの目的とは何か?誰のためのデザインなのか?ということについて書かれている.非常に考えさせられる面白い本なので,ユーザーインターフェースの研究をする人に限らず,Webも含んで製品やサービスを作る人,提供する人には是非お勧めしたい一冊.

私も,今後ソフトを作る時にはデザインの方向性を誤らないようにしなければ.